ゲームとしてのサッカーの面白さ
このあいだ、久しぶりにサッカーの練習試合に参加した。
社会人になってフットサルをやる機会は多くて、月に数回やることもあるけれど、
大きなサッカーコートで11人対11人、30分ゲームを2本やる機会は5年ぶりくらいだったと思う。
おじさんにとって、サッカーの試合に出る機会には、よほどのやる気がないと巡り会わないのだ。
久しぶりにグラウンドに立って、走って、(シュートを外しまくって、、)思ったことは1つ。
自分にとって、生涯こんなに楽しいスポーツはないだろうということ。
それもこれも、ただ学生時代にサッカー部に所属していた経験があるからに他ならない。
野球は、僕より野球部だった人のほうが面白いだろう。僕がわからないことを知っているし出来るだろうから。
そんな多くの人が持っている、「昔からの趣味を好きだと再認識させられた」というただそれだけのことではあるが、
本当にサッカーというスポーツのことを好きになってよかったなあと感じている。
そもそも、僕は今、学生の頃よりもサッカーが好きである。
のめりこんだきっかけは、高校3年生のときにとあるプロコーチに出合ったことだと思う。
理屈で攻め方・守り方を教えてもらい、「サッカーって戦術的なゲームなんだ」と初めて理解したことがきっかけだった。
おかげで大学時代から少しずつサッカーを考えながら見るようになり、プロの試合を観るのもどんどん面白くなっていった。
その一方で、自分がサッカーをする機会は減っていき、社会人になったらほとんどやらなくなったのだけれど。
それにしてもサッカーは昔に比べてポピュラーなスポーツになった。
先月末には、日本代表がワールドカップ6回連続出場を決めた。
昔はかなり見るのに苦労をしたヨーロッパのサッカーも、今では手間なく簡単に見れるようになったし、情報もあふれている。
そんななか、多くの人がサッカーをどんな気持ちで観戦しているのか知りたくなった。
サッカーを観ているすべての人たちが、サッカーを競技として経験したことがあるわけではないだろう。
それでもサッカーは人を引き付けるものがあるとも思う。
プレー自体の魅力だけではなく、
ワールドカップをはじめとするオリンピックにも劣らない巨大な大会が成せるお祭り的興奮だったり、
地元チームやプレーヤーを追いかけるファン心理が生み出す応援する気持ちだったり、
サッカーを取り巻く環境は多くの人を引き付けていると思う。
しかし、ゲーム自体はどのように感じながら見られているのだろう。
サッカーをやったことがない、あまり詳しくない人たちにとっては、
「なかなか点が入らなくて盛り上がりに欠けるから退屈」という感想を持つのが普通なのではないかなと私は思っている。
90分間で 何10点も入らなくても、サッカーというゲームは試合を通して見所溢れる面白いものなのだ。
そんなふうに、サッカーをやったことがない人たちでも、もう少しサッカーを「ゲーム」として面白くみることはできないか?
それぞれのチームがどんな戦術で、どんな意図で試合に臨んでいるのか?それぞれがゲームの間にどんな行動を起こして、結果につながったのか?ということを読み解くことができたら、
もっとサッカーを好きになってもらえるひとが増えると思っている。
一方で、そういう観方を知る機会は少ないように思う。
初心者にもわかるサッカー戦術の文献というのは、いくつか存在するが、
サッカー経験者をターゲットにしていたり、理屈もそこそこに日本サッカー育成者への提言!みたいな話に終始してしまって、
初心者にとって腹落ちが難しいないようなことが多いと感じている。
私自身、高校生の終わりまで、試合をそこまでゲームとして面白いと思っていなかった。
たまたま稀代のサッカーコーチに出合ったことで開けた興味を、いま世の中にあるいくつかの文献を参照しながらかみ砕いて、
もう少しゲームとしてのサッカーへの門戸が開けたらいいなあと思っていたりする。